日本での就労に向けて伴走したウクライナ出身の人材が、報道・情報番組を中心に派遣・制作協力を手掛ける、株式会社Jpエンジン様に採用され、大手テレビ局の報道部門にて勤務を開始したことを発表します。

本件ご担当者様には数年前に取材を通じてWELgeeと接点をもっていただきました。その後、テレビ局がデジタルコンテンツ事業の拡大や、グローバル化を図る中で、難民人材がもたらす多様性が現場の活性化につながるものとして、採用を本格的に検討いただくこととなりました。

今回採用されたVさんは、母国ウクライナで国立大学文学部に通い、日本語を含む東洋言語文学を修了。大学の傍ら、写真コンテストで受賞するなど、撮影・画像編集に興味を持って活動してきました。ウクライナ侵攻をきっかけに22年10月来日。来日後は日本語学校に通い、レストランでパートタイム勤務をしながら、就職活動に励んできました。

WELgeeはVさんに2023年4月より伴走。日本での就労に関するキャリア教育、履歴書のブラッシュアップや数社への紹介を重ねてきました。今回の採用では高い日本語でのコミュニケーション能力や、礼儀正しく、明るく素直な人柄が評価されました。

12月1日よりお試し雇用を開始。アドビ製品を利用したSNS用動画編集やサムネイル作り、SNSへの動画アップ作業を中心に担当してきました。お試し雇用期間には100本近くの動画を担当しました。業務の飲み込みの早さやコミュニケーション能力が評価され、2024年4月より本採用となりました。現在は翻訳等も担当しており、今後は同社のグローバルなコンテンツ展開への貢献も期待されています。

◆ 日本語翻訳
職場の雰囲気はとてもいいです。私の日本語が完璧とは言いがたいにもかかわらず、同僚たちは私を理解し、よく接してくれています。 上司は、私がチームの一員であることを実感できるよう心配してくれていて、チームになじめるようにあらゆる手段を講じてくれました。 チームに入ってからも、辛抱強く教えていただき感謝しています。
今は、徐々に多くの仕事を任せてもらえるようになり、会社の発展に少し貢献できていると感じています。 自分の考えを述べる機会が与えられ、意見を聞いてもらえることがうれしいです。 差別も感じないし、逆に外国人である私の視点は、彼らにとって貴重なようです。 会社の人たちが私の国の文化に興味を持ってくれて、たとえばウクライナ料理のレストランに行くことに興味を示してくれるのは、非常にうれしいことです。ウクライナと日本の関係発展に貢献できたらと感じています。

この会社とは長期的な協力関係を築きたいです。 できるだけ多くの新しいプロジェクトに挑戦したいです。 新しいプロジェクトのアイデアを自分から提案し、さらにその実行に携われるレベルまで成長するのが夢です。 まだまだ経験不足な部分も多いですが、毎日が勉強で、人間的にも成長していると感じます。 任される仕事が増えれば増えるほど、頑張ろうという気持ちになります。 なので、会社の期待に応えられるように、そして自分の責任の範囲がどんどん広がっていくように頑張っていきたいです。 

Vさんは文字通りウクライナの戦禍を潜り抜けて日本にたどり着きました。そのVさんが母国で学んできたことを活かし今回の就業に至った影には、彼女のこれまでの努力や優れた人柄はもちろん、「難民人材の採用」という未知の領域に取り組んでみようと勇気を持って考えてくださったテレビ関係者の方々の存在がありました。今回、可能性を秘めた難民人材と、新しい価値創造に挑む企業様のパッションをつなぐ役割をWELgeeが果たせたことを大変嬉しく思っています。第二第三のVさんが誕生するよう、これからもWELgeeは難民人材に伴走して参ります。

◎難民の定義

難民とは「人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の成員資格・政治的意見を理由に迫害されるという十分に理由のある恐怖のために国籍国の外におり、かつ、その国の保護を受けられないか、そのような恐怖のためにそれを望まない者」（出典：UNHCR『難民の地位に関する条約』『難民の地位に関する議定書』）を指します。 近年、UNHCRのガイドラインなどによって国際慣習では、紛争・ジェンダー・気候変動での強制移住をせざるを得なくなった人々についても難民として保護する流れが主流になっています。

◎WELgeeの「難民」の考え方

難民が生じる背景や社会情勢が多様化・複雑化する中で、従来の難民の定義にとどまらない多くの人々が、祖国を追われる状態に置かれています。WELgeeは、命の危険があって現在祖国に戻れない状態にある人を活動の対象としており、認定難民・難民認定申請者・後発的難民（帰国困難な状態にある元留学生等）・避難民なども含んでいます。

◎WELgee活動のスタンス

WELgeeは「難民」を保護対象としてのみならず、一人ひとりが志や経験をもった個人として捉えています。政府による難民認定だけをゴールにするのではなく、難民の人生の再建の選択肢を増やす取り組みを行っています。