2025年までに難民活躍100事例を創出。「日本で人生を再建したい」という声にこたえ続けるための寄付を募集します【寄付キャンペーン】
2024年2月17日~2024年3月31日の期間で実施しました寄付キャンペーン。41名の方より、417200円のご寄付をいただきました。
応援の気持ちに、心より感謝申し上げます。
インターナショナルズのため、また企業における難民活躍促進のため、大切に活用させていただきます。
また、WELgeeでは引き続き、難民の人生再建を支えるWELgeeファミリー(月額継続寄付会員)を募集しております。
「日本に逃れた彼らの人生再建を応援したい。」
「難民の若者を寄付で応援したい!」
そうお思いの方は下記もごらんください。
2024年2月24日でウクライナ侵攻から2年となります。アフガニスタンのタリバン復権からは2年半、ハマスによるイスラエルへの越境攻撃とイスラエル軍によるガザへの侵攻からは半年が経過しました。
今日も世界で長期化・激化する紛争、迫害等から命を守るために他国を逃れるという決断をする人々がいます。
WELgeeは日本に逃れた難民が、日本でキャリアを築きなおし、人生再建をできるような機会創出や伴走を6年以上続けてきました。これまでWELgeeのプログラムをうけた難民の方のうち、累計30名以上がスキルや経験を活かした就労につながっています。
しかし、紛争が長期化する中で、適切な就労機会にたどり着けない難民がまだまだ多くいます。
WELgeeが出会ってきた難民は400名を超えました。そのうち8割は学士卒以上ですが、その多くが未だ3K労働を中心とした不安定な労働環境で生計を支え、ワーキングプアー状態に陥っています。
紛争の長期化の中で、本格的に日本でのキャリアを考えるフェーズにある方も急増しています。
難民の就労へのニーズが高まり、事業の拡大が求められている今、2024年度さらに一歩進んでいけるよう、活動を支える寄付キャンペーンを開始しました。目標金額は50万円で、3月31日まで開催いたします。どうかみなさまのご支援をいただけますと幸いです。
ウクライナ東部マリウポリで生まれ育った20代のアンナさんはご主人とお姉さんとのアパート暮らし。学校の教師として働いていました。
2022年2月下旬、アンナさん暮らしていたマリウポリに本格的な攻撃が開始しました。ロシアはマリウポリを支配下におこうとしていたのです。日に日に状況は悪化していきました。
空爆が頻繁に起きるようになり、様々な施設が破壊されインフラが途絶え始めました。
すぐにマリウポリに暮らす50万人の市民は、水や電気、ガス、インターネット、物資など何もない状況に陥りました。
爆撃の音があまりに大きく、恐怖のあまりに眠れぬ夜が続きました。
物流が途絶えた状況だった為、アンナさんは食料を確保しなければと、ご主人とまだ営業していた数少ないお店へ出かけました。し
かし、まだお店へ行く途中の道で、お姉さんから「あたりを戦車がすでに走り回っていて、銃撃戦があった」と告げられます。そのときには、近隣の人たちの多くが防空壕へ逃れていました。
アンナさんはアパートに戻りました。通路で様子をうかがっていると、爆撃の音が少しずつ近づいていることに気づきました。
「今すぐ逃げないと!」
アンナさんはドアを開けるなり、ご主人とお姉さんに叫びました。アンナさんたちが廊下へ逃げた瞬間、「バンッ!!」と大きな音がし、ついさっきまで暮らしていたアパートが破壊されました。
どうにか近所の人とアパートを消火しました。
また砲撃が始まり、アンナたちはなんとか地下室に隠れました。それからまた何発かの砲弾が再びアパートを直撃しました。
家が破壊された日、地下室から出てきた私たちが目にしたのは、砲撃による破壊の跡だけでした。他の建物や店などはすべて破壊され、食べ物を探して街を歩いても、友人を訪ねても、これまで暮らしてきた街だとは認識できませんでした。市内の様々な場所で、砲撃は絶え間なく続きました。
「私もいつ死ぬか分からない」
そんな恐怖の中、生まれ育ったマリウポリを後にしたのが2022年3月16日でした。
初めて訪れた日本は、ウクライナとは環境も習慣も、見るものすべてが異なっていました。
それでも交通網が整っており、便利なものも多く、またアンナさんは日本人の温かさに触れる度にホッとしていました。
状況が落ち着きさえすれば「生きていくため、暮らしていくために働きたい」と感じています。
逃れてきた背景は様々ですが、生活のために、そして豊かな人生を歩むために働くということは日本に暮らす私たちとは何ら変わりがありません。
アンナさんは、政府が支援をしてくれてはいるものの、日本語もすぐに上達するものではなく、そのような中で自分たちがどのように仕事を見つけていけるのか、不安を抱えていました。仕事が見つからなければ、先行きの見通しが立たなくなってしまいます。
日本はまだまだ英語を話せる人も多くはありません。
交通標識などの案内は英語や中国語など併記してあることが増えましたが、求人情報は日本語のみの案内がほとんどです。
そもそも求人情報へアクセスすること自体が、アンナさんたちにとって厳しいことでした。
※1:法務省「ウクライナ避難民に関する情報」(2024/02/15閲覧)※2:日本財団 ウクライナ避難民支援記者発表(2022年12月実施調査)
ウクライナだけでなく、ガザ、シリア、アフリカ等、世界中で今日も進行している紛争・内戦・迫害。命を守るために、1万人以上が日本に逃れてきています。
彼らが異国の土地・日本でこれまでのキャリアを活かして活躍するには、大きな障害があります。
多くの企業が外国人採用において足きりとしてもうけている「日本語能力検定(JLPT)一級」。
漢字2000語(中学修了レベル)、語彙力10,000語レベルと設定されており、合格率30%、日本語ネイティブでも満点をとれない難易度のテストと言われています。
一方、紛争や迫害等、突然の出来事から、どうにか日本に逃れてきた難民・避難民は、多くが日本語学習経験のないまま来日しており、
たとえ就職活動に挑戦しても、多くが「日本語のレベルが足りない」ということを理由に、企業から多数のお祈りメールをもらう日々を送ります。
アンナさんのストーリーで述べられてたように、求人情報はほとんどが日本語。たとえ英語の求人があっても、高い日本語能力が求められるものばかり。
異国の地である日本に逃れてきた彼らは、誰も知り合いがいない状態からの就職活動を強いられ、適切な情報にアクセスすること、彼ら自身の力で難民・避難民を雇いたいと考える人に出会うのはとても困難です。
外国人採用担当者が普段多く対峙しているのは、欧米・アジア諸国出身の留学生。
「アフガニスタンから来ました。」「難民です。」
そう自己紹介をするだけで、白い目を向けられることも少なくありません。
あまりに高い就職活動の壁に、たとえ母国でエンジニア・弁護士・会計士といった豊かなキャリアを築いていても、工場での単純労働や解体現場での作業員になってしまうことも多くあります。
日本社会で必要とされるスキルや知識を学ぶための全3回の研修です。自己分析や就職活動の方法など、日本でキャリアを築くために重要な知識を実践形式で学びます。
研修のテーマ例
実際にすでに日本社会で活躍している社会人がメンターとなり、3ヶ月間かけてインターナショナルズの自己内省と就職活動に伴走します。インターナショナルズ(WELgeeに関わる難民)は、メンターのサポートを得ながら、経験やスキルの棚卸しを行い、日本におけるキャリアプランや強み、関心のある仕事を再定義していきます。
難民人材と日本企業をつなぐキャリアコーディネーションサービスです。
Career Training・メンターシップを通じて、採用文化を学び、日本におけるキャリアを具体的に描きはじめたインターナショナルズを、難民採用に関心のある企業に紹介。難民人材へのカウンセリングはもちろん、企業へのコンサルティング、フォローアップサポート等を通じて、難民・企業双方にポジティブなインパクトを生むマッチングを生み出します。
日本語教育やIT教育、大学院推薦プログラム等、それぞれが思い描くキャリアを築いていくことを目的に、様々なスキル開発の機会を提供しています。
来日してから1カ月ほどが経った頃、WELgeeが中心となって複数のIT企業が提供する様々なデジタルスキルに触れることのできるワークショップにアンナさんは参加しました。
アンナさんはこのワークショップをきっかけにWELgeeに就労のサポートをしてもらえることになりました。
ウクライナにいた頃から、教師以外にもジャーナリストとしても活動経験のあったアンナさん。故郷の様子やインタビューなどニュースサイトの記事を執筆していました。
日本へやって来てから、ウクライナに残っている人々を日本から支えることができないだろうかと考えていました。
そのため、ウクライナに関係するような仕事を探していました。
ただ、前述の通り日本語はまだ習得中のアンナさんにとっては、日本での職探しは難航しました。
WELgeeは、このようなアンナさんの状況、そして彼女の希望する働き方を丁寧にヒアリング。さらにアンナさんの就職活動に必要なあらゆる面においてサポートをし続けました。
そして2022年12月よりアンナさんは国際NGOの日本法人の職員として働けることになりました。
就職してから約1年。日本で暮らすウクライナ避難民を収集しながら、当事者の目線だからこそ発信できることを、レポートの発表やスピーチを通じて発信し、活躍しています。
WELgee Talentsによるマッチングにとどまらず、WELgeeのプログラムを受けた難民自身での就職活動等を通じ、日本企業において難民人材が活躍する事例を、現状の38事例から、2025年までに100事例まで増やします。
難民人材活躍100事例を創出することを通じて、難民の法的・経済的・社会的安定を確保するとともに、難民人材採用を通じた日本企業のイノベーション創出・DEI(Diversity, Equity & Inclusion)推進を目指します。
そのために、キャリアコーディネーター10名体制(現状の2倍)とすることを目指し、企業・難民人材ともに幸せに働くことのできる質の高いマッチングを多く生み出せる体制づくりを進めます。
また、インターナショナルズ(WELgeeに関わる難民)の個性を輝かすため、育成事業の充実化を図ります。
2016年から難民のキャリアに向きあってきたWELgeeが独自で運営・発展させてきたキャリア教育やメンターシップをより多くの難民に届けます。また、日本語研修もより充実化させるのと同時に、企業でのインターンシップの機会を設け、多様な背景をもつ難民ひとりひとりの個性が日本社会で輝くための機会を構築いたします。
◎難民の定義
難民とは「人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の成員資格・政治的意見を理由に迫害されるという十分に理由のある恐怖のために国籍国の外におり、かつ、その国の保護を受けられないか、そのような恐怖のためにそれを望まない者」(出典:UNHCR『難民の地位に関する条約』『難民の地位に関する議定書』)を指します。 近年、UNHCRのガイドラインなどによって国際慣習では、紛争・ジェンダー・気候変動での強制移住をせざるを得なくなった人々についても難民として保護する流れが主流になっています。
◎WELgeeの「難民」の考え方
難民が生じる背景や社会情勢が多様化・複雑化する中で、従来の難民の定義にとどまらない多くの人々が、祖国を追われる状態に置かれています。WELgeeは、命の危険があって現在母国に戻れない状態にある人を活動の対象としており、認定難民・難民認定申請者・後発的難民(帰国困難な状態にある元留学生等)・避難民なども含んでいます。
◎WELgee活動のスタンス
WELgeeは「難民」を保護対象としてのみならず、一人ひとりが志や経験をもった個人として捉えています。政府による難民認定だけをゴールにするのではなく、難民の人生の再建の選択肢を増やす取り組みを行っています。 WELgeeでは、WELgeeに登録しており、就職に向けて準備の揃っている難民の人材、もしくはすでに就職し活躍している難民の人材を、特に対企業向けに敬意をこめて「難民人材」と呼んでいます。