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【WELgeeを新しく知ってくださった方へ】難民・WELgeeについてのよくある質問

「難民」とは紛争や迫害など様々な理由から命の危険があって現在祖国に戻れない状態にある人をさします。逃避の際、行き先を選べる状況にない中でたまたま逃れられた先が日本だった、という人も存在します。なぜ彼らは日本に来るのか、そしてどのような制度/状況の中で日本に滞在しているのか、どのようにWELgeeは難民に対してアプローチしているのか等、彼らについてより理解するために、よくある質問をまとめました。

  • 難民ってどんな人たちのこと?
  • 国を逃れて日本にきた人は皆、「難民」として保護されているの?
  • なぜ難民は日本まで逃れてくる?
  • 難民認定率の高い他の国に渡るほうがいいのでは?
  • 難民が増えると治安が悪化するの?
  • 難民はみんな不法滞者/非正規滞在者なの?
  • 難民は働けるの?不法就労じゃないの?
  • 日本にくる難民は低学歴の危ない人たち、社会からのサポートを必要としつづける人なのか?
  • WELgeeはどうやって資金を得て活動しているの?

難民ってどんな人たちのこと?

難民とは「人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の成員資格・政治的意見を理由に迫害されるという十分に理由のある恐怖のために国籍国の外におり、かつ、その国の保護を受けられないか、そのような恐怖のためにそれを望まない者」(出典:UNHCR『難民の地位に関する条約』『難民の地位に関する議定書』)を指します。

近年では、紛争・ジェンダー・気候変動など、難民が生じる背景や社会情勢が多様化・複雑化する中で、従来の難民の定義にとどまらない多くの人々が、祖国を追われる状態に置かれています。UNHCRのガイドラインなどにより、国際慣習では、このような背景のもと、強制移住をせざるを得なくなった人々についても難民として保護する流れが主流になってきています。

WELgeeは、認定難民・難民認定申請者・後発的難民(帰国困難な状態にある元留学生等)・避難民なども含む、命の危険があって現在祖国に戻れない状態にある人を活動の対象としています。

日本に国を逃れてきた人は皆、「難民」として保護されているの?

日本は難民条約に加盟しており、難民を保護する義務があります。この条約に基づき、日本には難民認定制度があり、難民である外国人は、難民認定申請を行い、法務大臣から難民であるとの認定を受けた場合、日本国民同様の国民年金、児童扶養手当、福祉手当などの受給など、難民条約に規定する難民としての保護を受けることができると規定されています。

一方で、この法務大臣からの難民認定は、先進国の中でも類を見ないきわめて少ない数となっています。2022年には202人が認定された一方で、10143人が不認定、認定率は約3%でした。

またこの認定の結果が出るまでには、平均して4年ほどかかると言われています。彼らは難民認定の結果を待つ間、難民認定待ちのための「特定活動」という在留資格を更新し続けることになります。この在留資格は6カ月毎の更新が必要であり、不安定な法的地位や日本社会からの断絶、そして母国の複雑な状況が続く中で、精神的・社会的・法的に厳しい日々を過ごしています。

なぜ難民は日本まで逃れてくるの?

「難民として逃れるためのビザ」というものが存在しないため、母国で命の危険を感じた人が他国に逃げようと思ったときには、まず短期滞在(観光等)のビザの取得を目指す場合が多くあります。

短期滞在のビザであれば、日本は比較的短期間で取得できるとも言われています。いくつかの国に申請したものの、結果的にビザが取得できたのが日本だったという理由で、日本に来る人たちが多いです。

日本は広島・長崎での被曝を含めた戦争からの復興を経験していることを現地の教科書を通して知っていたり、戦争をしないことを掲げていること、銃社会でないことなどの治安の良さ・安全面から日本を選ぶ人もいます。また、親戚や知人が日本に滞在していたために、日本を選んだという方もいます。

難民認定率の高い他の国に渡るほうがいいのでは?

日本で難民認定されないのであれば、難民認定がおりる可能性の高い欧米諸国などへ渡ればいいのでは?という意見もありますが、日本で難民認定がおりていないと、どこか別の国に行くためには、祖国に帰国して、祖国にある大使館にてビザを取得しないと入国できないという状況に陥ることが多々あります。中には海外の方と結婚して他国に居住される方、母国には帰れないものの隣国に帰られる方などもいますが、他国に渡れば確実に難民として保護される、といえるわけではなく、他の国へ渡ることを容易に決断することはできません。

難民が増えると治安が悪化するの?

難民が増えると治安が悪化するのでは、という言説が存在します。しかし、このように難民が増えると直接的に治安悪化につながるという言説は、これまで数値によって支持されているものではありません。

例えば、オックスフォード大学のベル(2014)らによるイギリスの移民に関する研究では、移民グループを比較の上、移民の増加と犯罪の増加は相関関係になく、失業率の高い移民グループが増えた際に窃盗犯罪が微増したことから、むしろ就業の機会と犯罪に関係があるとされています。

欧米ではこれまで日本と比較して多くの移民を受け入れていますが、その研究においてもほとんどが移民・難民の増加と犯罪の増減の関係性は弱いとされています。

また日本をとっても、近年在日外国人が増加している一方で、犯罪率は低下しています。

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(出典:出入国管理庁 令和4年6月末現在における在留外国人数について 【R4.6末在留】統計資料 https://www.moj.go.jp/isa/content/001381744.pdf 警視庁 令和4年の犯罪情勢 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/r4_report.pdf

たしかに、就業できず、金銭的な援助も受けられず、まともな生活を送れない、という状況下では、生きながらえるための手段として窃盗等が増加するかもしれません。難民の人数と犯罪率には直接の相関性がない以上、難民を日本から排除しよう、という動きを通じ、困窮する難民を増やすよりも、彼らの生活再建への道をたて、人間らしい生活を充足できるようにすることが結果的には治安維持に繋がるのではないでしょうか。

難民はみんな不法滞在者/非正規滞在者なの?

短期滞在のビザ等で日本に入国した後で、日本国内の出入国管理局で難民認定申請をした方は正規滞在(特定活動の在留資格)となります。6ヶ月おきの更新が必要な在留資格ですが、難民認定申請の結果が出るまで滞在を続けることが可能となります。また難民認定申請の8ヶ月後からは就労許可も得ることができます。 WELgeeはこの難民申請中で就労許可をもつ方々に対しても就労プログラムを提供しています。

しかし、一部、難民申請が不認定になったものの、帰国すると命の危険があるため帰国ができず、在留資格・就労許可を失って非正規滞在(不法滞在)状態となるケースもあります。日本の難民認定審査は非常に厳しいものであり、母国に帰れば身の危険のある人でも認定されないことも多く、結果として日本において、非正規滞在(不法滞在)状態になる人も存在します。

難民は働けるの?不法就労じゃないの?

就労許可があれば、不法就労にはなりません。正規の滞在で難民認定申請をした場合、「特定活動」の在留資格を得て、審査の結果が出るのを待つことになります。申請から8ヶ月が経つと、就労許可を得られます。難民認定を待つ間、全員が受けられる政府からの生活のサポートがないため、仕事をしながら自力で生き延びる必要があります。

就労許可の有無は、在留カード表面の「就労制限の有無」欄とパスポートに付属する「指定書」により確認できます。

日本にくる難民は低学歴の危ない人たち、社会からのサポートを必要としつづける人なの?

彼らは「難民」という属性のみでは一口には括れないほど、それぞれが様々なバックグラウンドを有しています。よって、全員が教育を受けてないだろうという認識や、ずっと社会の負担だという認識には固定観念による誤解も多く含まれています。

日本にくる難民の方の中には、大学卒や大学院卒の人々も含まれます。キャリアプログラムを運営するWELgeeには、就労を通じて日本社会で人生を再建しようと思う人がアクセスをしてくることもあり、WELgee登録者の半数以上が大学・大学院卒で、母国にて弁護士、会計士、プログラマー、翻訳者などの豊かな経験をつみ、卓越したスキルを持つ方、その経験・スキルを活かして、日本社会に貢献したいと考えている方が多くいます。

もちろん何も知らない異国の地に突然来ることになったという背景や、難民に対する日本社会の理解不足など、日本で生活再建するには多くの壁が存在し、最初の一歩を踏みだすにはサポートが必要です。WELgeeでは彼らのスキル・経験を活かした就労・キャリアの再構築、それを通じた社会への貢献がかなうよう、日本企業で必要とされるスキル獲得を目指した育成事業や就労伴走事業を実施しています。

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WELgeeはどうやって資金を得て活動しているの?

WELgeeの資金源は主に、事業収益・民間の財団等からの助成金・個人/法人からの寄付です。2023年3月末時点で307名の方がマンスリーサポーター(継続寄付会員)として応援くださっています。いつも活動を支えてくださり、ありがとうございます。

NPO法人化した2018年度より、毎年、事業報告・決算を開示し、都庁報告もしております。収益と費用についてもっと詳しく知りたいという場合には、こちらのページにある報告用資料をご確認ください。

その他にも多くの方に様々な形でサポートいただいています。シェアオフィスをデジサーチアンドアドバタイジング様にご提供いただいていること、リーガルアドバイザーとしてBLPネットワークの弁護士の皆様にお力添えいただいていることなど、事業や組織を前進させてゆくための様々なご支援に支えられています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。難民問題理解の一助になっていれば幸いです。

WELgeeは多くの方からの様々なサポートによって活動を継続することができています。境遇に関わらず共に未来を築ける社会に向けて、これからも活動を継続・拡大してゆく所存です。

ご関心を持っていただける場合、まずは、1日30円 ~のご寄付で難民の方々の日本での人生再建に協力いただくことができます。未来を見据える300人の仲間が待っています!

▷ WELgeeファミリーへのご登録はこちらからhttps://www.welgee.jp/campaign2022.html

(参照)

難民支援協会,『難民にまつわる12のよくある質問』(掲載日 2022年1月5日、参照 2023/04/20)https://www.refugee.or.jp/refugee/faq/#9

LSE Research Online・Brian Bell, Francesco Fasani and Stephen Machin『Crime and immigration: evidence from large immigrant waves』,p 1279 (掲載日 2014/09/02,参照 2023/04/20)https://eprints.lse.ac.uk/59323/1/CEP_Bell_Fasani_Machin_Crime-and-immigration_2013.pdf

出入国管理庁,『令和4年6月末現在における在留外国人数について 』【R4.6末在留】統計資料 (掲載日 2022/10/14,参照 2023/04/22)https://www.moj.go.jp/isa/content/001381744.pdf 

警視庁,『令和4年の犯罪情勢』,p1(掲載日 2023/02,参照 2023/04/22)

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/r4_report.pdf

PRESIDENT Online, 友原章典『「外国人が増えると治安が悪くなる」と信じて疑わない人の盲点 罪を犯すのは外国人だからではない』(掲載日 2020/03/02, 参照 2023/04/20)

https://president.jp/articles/-/33164?page=2

出入国管理庁『難民認定制度』(参照 2023/04/20)

https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nanmin_00001.html

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